【小説】グラスホッパー

本作は伊坂幸太郎さんの小説で教師をしていた一般人と自殺させ屋、殺し屋の3人の視点で物語が進んでいく。

殺し屋はともかく自殺させ屋とは?となるが相対した人間は罪悪感が増幅させられていつの間にか自殺しているという不思議な能力がある人物だ。

3人が共通して関わることになる人物は「押し屋」、これは人をこっそり押して殺す、これもまた殺し屋の一種だ。

 

こうして、人物の紹介だけしていると厨二病感ある話なのか?と感じるかもしれないが作者の伊坂幸太郎さんは不思議な設定をさも日常のように描くことが上手い作者だと私は感じている。

他にもいくつか作者の小説を読んでいるがどれもありそうなんだけどありえない設定が織り込まれている覚えがある、どれも本当にあるのでは無いかと少し感じてしまうほど日常に溶け込んでいる気がして読み出すと不思議な感覚でページをめくっている。

 

本作の話を戻すと冒頭は教師をしていた一般人、鈴木が妻を殺された復讐のため殺し屋の組織に派遣社員として所属して、ついに殺した本人との対面というところから始まるのだが、いきなり衝撃の展開となる。

私はこれまで小説を読んできた感覚で次はこうなるのかな、それとも別の方法としてこんなパターンで展開されていくのかななど次の展開を予想していたが見事に外されてしまった。

冒頭30ページにも満たないだろうか、そのタイミングから予想外の展開を喰らったため、この先の展開が全くわからなくなってしまったのだ。

 

冒頭の鈴木の話から連鎖して自殺させ屋の視点、殺し屋の視点と切り替わっていくのだが、当初は交わることのない人物達がどのように交わっていくのか予想もつかない状況だったのだが、どんどんパズルのピースがはまるように一つの点に集まっていく。

後半になるにつれてページを捲るワクワク感が増していく、非常に痛快な作品だった。

 

詳細については記載しないが、冒頭の驚きの展開以降も予想も出来ていなかった展開が次々と出てくる。

私の発想が乏しいなどもあるかもしれないが、驚きの展開と事前に貼られた伏線に感動しつつ、本作を読破した。

 

私自身、いつか小説を書いてみたいと夢を持っている身からすると、もちろん現実の事象ではなく、作者が意図して作った展開でも読者を驚かす展開と伏線は見事であり、自分の創作をするときには取り入れてみたいものだと感じた。

 

本作の作者、伊坂幸太郎さんの作品は他にもいくつか好きなものがあるので、機会があればまた紹介したいと思う。